マンション派のあなたへ

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ただのリフォームとは違うからおススメ

家の購入を計画中、さてどんな選択肢があるでしょうか。分譲戸建て、あるいはマンション? 多くの人が新築を前提に検討しているかもしれませんが、もう1つ考えていただきたいのが「中古マンションのリノベーション」です。

最近よく耳にするリノベーションは、普通のリフォームと何が違うのでしょう。普通リフォームと言えば、内装のクロスや浴室、キッチンなどの設備機器を入れ替える改装を指します。見た目はきれいになりますが、間取りはほぼ以前のまま。和室を洋室にする程度の手直しをすることはありますが、水まわりの面積や収納などの少なさは変わりません。

これに対しリノベーションでは、間仕切り壁を取り払って間取りをゼロから考え直していきます。内装仕上げや設備機器が新しくなるのはもちろん、間仕切りを含めた改修によって暮らしを一新できるのが特徴です。

では、新築のマンションや戸建て住宅を買うのではなく、わざわざ中古マンションを買ってリノベーションしたほうが良い理由は何でしょうか?

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新築より安く「我が家」を持てる

最大のメリットは、コストパフォーマンスの良さにあります。

中古マンションの購入費と改修工事費を合わせても、新築マンションや新築戸建てよりお得です。例えば、3000万円の新築マンションを購入するケースと比較しましょう。中古マンションを1500万円程度で購入し、残りの1500万円分を改修費に充てれば、思い切ったリノベーションが可能です。しかも、立地が同じなら新築マンションを買うより広い面積の家を購入できます。

新築という言葉にこだわりさえしなければ、同じ予算でより実のある我が家を入手できる。こんな良い方法を見逃すことはありません。

コストは??

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暮らしに合った住まいにできる

注文住宅のように、家の内部を自由に計画できるのも魅力です。

新築のマンションや分譲住宅には最新設備が装備され、室内はシンプルなインテリアにまとめられています。でも、どの住戸も同じような間取り、似た内装になっていることは否めません。壁や天井の仕上げは白いクロスで統一され、床のフローリングも集合住宅用の汎用建材が使われます。そこには、こんな柄のクロスにしたいとか、自然素材を使いたいといった個人の希望が入り込む余地はありません。

また、最近の家族の在り方は多様化し、同じ家族でも時間と共に住む人数や生活スタイルは変化していきます。部屋数を確保することを重視してつくられてきた2LDKや3LDKという部屋構成は、住む人の生活に必ずしもマッチしていないのが実情です。

その点、購入した中古マンションをリノベーションすれば、内装仕上げはもちろん、間取りも自分たちの生活に合った形に仕立てられます。お仕着せではなく、自分たちのための、自分たちらしい住まい。オンリーワンの家を求めるのであれば、リノベーションは有効な選択肢となるのです。

同じ価格なら?

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居住期間を見据えた計画に、リノベーションを成功させるための3つのカギ

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1 建物選びでは強さや寿命も要チェック

中古マンションのリノベーションは、マンション住戸を買うところから始まります。もちろん立地や環境、建物の雰囲気は大切ですが、もう1つ見落としてはいけないのが「これから長く安心して住み続けられる」かどうか。建物の耐震性や耐久性のチェックは欠かせません。

建物の耐震基準は、1981年に大きく変わりました。そのため一般に1981年以降計画されたマンションの耐震性能は高く、それ以前の旧基準で建てられたマンションでは低くなります。例えば築40年のマンションは旧基準なので、耐震診断や耐震改修が実施されているか確認するようにしましょう。

また、鉄筋コンクリート造のマンションは一般に約60年は利用できると言われています。築20年のマンションの場合、残りはおよそ40年。35歳で購入して40年程度住むつもりであれば、建物の寿命の面では問題ないと考えられます。

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2 できること、できないことを知っておく

リノベーションでは、間取りも自由に改変できると書きました。ただし、いくつかの制約はあります。

例えば、外壁の外側や窓サッシは共用部分のため、住み手が手を加えることができません。また、上下水やガスといったインフラ設備の共用配管の位置は動かせません。そのため、キッチンや浴室、トイレなどの水まわり設備は、共用配管へ適切に接続できる範囲で配置する必要があります。

もう1つ改修のネックになりやすいのが、天井に出てくる大きな梁です。建物を支える大切な躯体なので、間取り上いくら邪魔になっても削ることはできません。梁を上手に避けながら、新しい間取りを考えていくことが求められます。

逆にいえば、こうしたいくつかの制約をクリアすれば、あとは自由に考えることができます。間仕切り壁を動かせないと思っている人を見かけますが、構造体でない間仕切り壁は木製でできているだけなので撤去は可能。住戸という箱の中で、自由に間取りを考えていけばよいのです。

窓サッシ、玄関の扉、外壁、共用配管まわりは手を加えられない!

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3 「生活の変化」を見越した間取りに

戸建ての注文住宅を計画する時と同じく、マンションのリノベーションでも大切なのが、長く住んでいくことを念頭に置いた間取りづくりです。

10年、20年と住み続けていく間に、家族の構成や生活の在り方は変化していくもの。小さな子供たちは成長し、いずれ独立して家を出ていくでしょう。今はバリバリ働いている夫婦も、やがて仕事から引退して家で過ごす時間が長くなります。リノベーションする際、時間の経過と共に訪れるこうした変化に対応できるよう計画しておけば、後で間取りが使いにくくなったり、無駄な空き部屋が生まれたりという状態を防げます。

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例えば、子供が将来家を出た際には、壁を取り払ってウォークインクロ−ゼットや書斎として利用できるような部屋構成にしておく。あるいは、2人いる子供の部屋を壁ではなく家具で間仕切り、子供たちがいなくなったら大きな1部屋として使えるようにする…。いろいろな工夫が考えられます。

実は、これらの工夫は、戸建ての注文住宅ではごく普通に取り入れられています。マンションを改修する時にはどうしても現在の間取りにとらわれてしまいますが、大切なのは注文住宅を建てる気持ちで取り組むこと。リノベーションを依頼する会社も、こうした視点で提案してくれるところを選びましょう。