戸建から住み替えたい

質の高い暮らしを目指す、リノベーションを成功させるための3つのカギ

1

1 売却価格の範囲に収める

ある程度の年齢になってから住み替える場合、新しくローンを組むのが難しく、将来のことを考えても新たな負担は避けたいものです。安心して豊かな生活を送れるようにするのが住み替えの目的ですから、資金計画で無理をするのは禁物です。

そこで、中古マンションを購入してリノベーションする際には、戸建てを売却した金額の範囲ですべての費用をまかなうよう計画しましょう。2500万円で自宅の戸建てを売ったのであれば、1000万円で中古マンションを購入し、リノベ−ションに1000万かける、これなら合計2000万円で収まり、500万円を余らせることができます。引っ越しなどの諸費用を加えても、足を出さずに住み替えを実行できるわけです。

ここで大切なのは、自宅がいくらで売れるのかを事前にしっかり査定してもらうことです。売却してからすべての計画を始めると、自宅の引き渡しから引っ越しまでに間が空き、仮住まいする必要が生じたりします。あらかじめ適切な査定をしてもらえば、余計なエネルギーとお金をかけずに済みます。

1

2 建物は立地を優先

中古マンションを買う際に、気をつけることは何でしょうか。

一般には建物の耐久性や耐震性に注意が必要で、その際には建物の築年数が1つの判断基準となります。ただし、ある程度年配の人が住み替えるなら、今後そのマンションで暮らす年月が40年、50年という長さになるわけではありません。例えばあと20年程度を過ごす前提なら、中古マンションであってもそれほど築年数を気にする必要はないでしょう。

逆に、優先したいのは立地の利便性です。マンションへの住み替えの大きな目的は、老後になっても安心できて不便なく暮らしていくこと。便利な場所に住めば外出も気軽にでき、日々の生活をより積極的に楽しんでいけます。そのためには、駅や商業施設、医療施設などに行きやすい立地の良さは外せない条件になります。

1

3 住み心地を大切にする

せっかく中古マンションを購入してリノベーションするからには、気持ちよく過ごせるように改修しなければ意味がありません。部屋数を減らして玄関や水まわりを広くする、寝室に十分な収納を設け、リビングをゆったり過ごせる空間にするなど、間取りの改変は必須となるでしょう。

同時に配慮してほしいのが、快適性の向上です。特に古いマンションの場合、断熱性が低く結露が生じやすい状態になっている建物は珍しくありません。そこで、外に接した壁の内側に断熱材を取り付け、内窓をつけて窓を二重にするなどの断熱工事を行います。見えない部分まで配慮した工事によって、結露の発生を防ぎ、夏の冷房や冬の暖房の費用を抑えることができます。

また壁や床の仕上げには、マンション仕様の製品を使わずに、思い切ってムク材や珪藻土などを利用してみませんか。自然素材は調湿作用があるなど室内環境を快適に保ってくれるほか、肌触りの良さ、どこかくつろげる温かみなど、人工素材では得られない良さがあります。「白くて四角い箱」のマンション住戸とはひと味違う、戸建てのような安らぎ空間を実現できます。

1

シニア生活に豊かさと安心を、なぜリノベーションすると良いのでしょう?

1

老後の戸建ては不安

子育てが終わったので夫婦だけの暮らしを楽しみたい。安心して過ごせる終の住処がほしい…。長く戸建てに住んできたシニア層やご高齢者で、マンションへの住み替えを検討するケースが増えています。子供が独立して広くなった2階建ての家に、将来もこのまま住み続けられるのかは分かりません。家族構成や体調の変化によって、長くなじんできた戸建て住宅を持て余し気味になり、先々の住まい方に不安を抱くようになるからです。そういう人に考えていただきたいのが、「中古マンションに住み替えてリノベーションする」という方法です。

今お住まいの戸建ては、郊外の住宅地に建っている場合が多いでしょう。周辺には緑が多く、家には子供の個室もしっかり確保している。子育てをしてきた時期にはちょうど良かった家も、子供が独立した夫婦には不向きになっているケースが珍しくありません。

例えば、最寄り駅からの遠さ。若い頃は自転車や自動車で出かければ気にならなかった距離も、徒歩で行き来する状態になれば日々の買い物や病院通いを不便に感じるでしょう。部屋数が多いと、家の掃除も手間がかかります。そもそも日常使わない部屋が余っているのはもったいないことです。丹精した草木が育つ庭だって、これからは手入れするのが億劫になるかもしれません。

さらに古い戸建て住宅は、断熱などの基本性能が現在の標準より低いのが普通です。冬には廊下や浴室に出ると寒いため、ヒートショックにより身体への影響が出るなど健康の心配も生じます。

「駅近マンション」への引っ越しがお薦め

戸建てに住み続けることで生じるこうした不安の多くは、駅に近いマンションへの住み替えで解消されます。

何より、駅に出やすくなります。戸建てに比べて戸締まりも楽になるので、外出が億劫になりません。カギ1つの戸締まりで、旅行にも気軽に出られます。高齢になって家に閉じこもりがちになる状況を避けるためにも、気軽に出られる家の環境はとても大切です。病院が近いことも心強い要素となります。

このほかにも、便利なことはいろいろあります。1フロアに暮らすので、階段の上り下りをする必要がありません。今の家族構成に合ったコンパクトな広さのマンションを選べば、掃除も楽になるでしょう。共用部分については管理組合が管轄するので、外回りの掃除やメンテナンスを自分で行うこともありません。暮らしの手間を省いて得た余裕は、日々の生活を豊かに彩る時間に費やせます。

お金の面でもメリットが出てきます。広い土地を所有していない分、固定資産税が安くなります。マンションでは管理費や長期修繕積立金という月々の出費は伴いますが、戸建てに住んでいてもいずれは補修などの工事費が必要になります。戸建てに住んでいるとつい忘れがちなメンテナンスへの出費を計画的に行うと思えば、むしろ安心して家計を営むことができるでしょう。

1

中古なら、安価に「自然素材」の家も

ここまで述べたマンションのメリットは、新築物件でも中古物件でも変わりません。でも実は、中古マンションを選ぶと新築マンションを買うより良い点がたくさんあります。それが、「中古マンションのリノベーション」をお薦めする理由です。

第1の長所は、費用が少なくて済むことです。例えば中古マンションなら1000万円前後でも買えるので、リノベーションに1000万円程度をかけたとしても新築より安く済みます。しかも一般に、早い時期に開発された中古マンションのほうが、駅に近く便利な物件が出てくる可能性は高くなります。

もう1つの長所は、戸建てに近い雰囲気の住まいにできることです。マンションの弱点は、間取りや内装が画一的になりがちな点にあります。新築マンションではお仕着せの間取りや内装を避けることはできませんが、中古マンションをリノベーションすれば、間取りや内装は自由に考えられます。例えば珪藻土の壁や天井、無垢材の床フローリングなどの温かな自然素材を使えば、無機質になりがちなマンションの部屋がくつろぎの場に一変します。こうした空間づくりは、リノベーションでなければ実現できません。

年齢を重ねていくと、若い時期に比べて家で過ごす時間が長くなります。だからこそ、住まいは居心地の良い空間にしたいもの。「中古マンションのリノベーション」が、豊かな時間のある生活を可能にしてくれます。

1
1
1